どんな仕事?
ものづくりの現場などにおいて、デジタルデータをもとに3Dプリンターを操作し、金属、樹脂などさまざまな材料から、立体物の試作品や少量生産品を造形する。
3Dプリンター技術はデジタル設計データをもとに、材料を一層ずつ積み重ねていく(=積層)ことにより、立体物を造形する製造技術であり、AM技術(アディティブ・マニュファクチャリング:付加製造、積層造形)と表現されることもある。3DプリンターはこのAM技術を応用した装置といえる。
例えば、旋盤やフライス盤などに代表される従来からの切削加工は、切る・削ることで不要な部分を除去する製造技術である。これに対して、AM技術は立体物のスライスされた2次元の層を一枚ずつ積み重ねていく“足し算”式の製造技術といえる。国際的にはAM技術という表現が一般的だが、国内では3Dプリンター技術と呼ばれている。
この製造技術は、オーディオ製品等の身の回りの民生機器、自動車関連部品、産業用ロボット部品などの試作品の製作、治具・工具の製作、最終製品の製造などに活用されている。活用される分野はこれらにとどまらず、住宅産業、航空産業、宇宙産業(ロケット、人工衛星)、防衛産業から、医療分野(人工骨・関節、心臓の弁、人工歯根など)、スポーツ分野のほか、ジュエリーデザインの業界など多岐にわたる。
従来、製品の試作品を製作する際、金型を作る必要がある場合、数週間を要することも珍しくはなかった。3Dプリンター技術では試作受注から納入まで迅速に行え(早ければ即日~数日内)、試作品に対して顧客から手直しの要望があった場合もすぐに再提出できる。この試作品を迅速に製作できることが3Dプリンター技術の最大の強みと言える。
また、複雑な形状の機械部品のように、従来であれば複数の組立の工程を要する部品についても、3Dプリンターで製作すると、部品の数が少なくて済み、誤差を低減できることに加え、作業の工程数を減らせる。
試作品について顧客から寄せられる細かな要望に即応し、必要な数だけをオンデマンドで生産できるため在庫を抱えなくてもよく、また、従来は難しかった数種類の試作品を同時に提出することもできる。これらの強みは、ものづくりの現場において、生産工程の効率化・コスト削減、品質向上、設備や生産人員の最適化につながり、生産性の向上に大きく貢献できる。
工程として重要なのは、まずは、造形物の設計図を3次元CADで作成し、そのデジタル設計データを3Dプリンター用のデータ形式・構造に変換し、出力・整合性チェックをする「前処理」と呼ばれるステップである。その上で実際にさまざまな造形方式により3Dプリンターで造形物を製作する。その後、造形物に付着したサポート材を除去し、造形物の表面の研磨やバリ取りなどの仕上げ加工を行う「後処理」と呼ばれる工程を経て完成品となる。
一口に3Dプリンター技術といっても、実際には多くの造形方式がある。主なものとしては、液槽光重合、粉末床溶融結合、結合剤噴射、材料噴射、指向性エネルギー堆積、シート積層、材料押出など。更にこれらを組み合わせた新たな造形方式も開発されている。一般的に、一つの生産現場でこれら造形方式のすべてが活用されることはなく、製作する造形物に応じた方式及びプリンターが用いられる。
主な素材として、樹脂や金属、セラミックなどが挙げられる。造形方式ごとに製造方法、材料や造形物のサイズ及び特性が異なり、3Dプリンターを取り扱う際は、製作する造形物に適した方式、製造方法及び材料を正しく選べる知識・技術が求められる。
この3Dプリンター技術の魅力は、切削加工や金型成形などこれまで培われてきた製造技術の概念を大きく変え、AM技術でしか作れないものを設計しスピーディーに作ることができるようになったことにある。生産性の向上など企業行動・企業経営にまで大きく影響を与えうる技術と言える。従来と違う工法の技術を知ることや、その技術によりものづくりに携われることにやりがいや楽しさを感じるという現場の声も多い。
<就業希望者へのメッセージ>
3Dプリンターは新しい造形方式が続々と登場し、新しい技術に触れながらものづくりができる楽しさがある仕事です。それには伝統のものづくりの技術も必要とされます。従来の「切削加工」で培われた熟練の技と、3Dプリンターの最先端のテクノロジーの両方を兼ねそろえたエンジニアが増えることで、日本のものづくりはもっと飛躍すると思います。(就業者 30代)
「ものづくりのトップランナー」のプライドをもって取り組める大変やりがいのある仕事です。主力メーカーのほとんどが国外のため、展示会などの海外出張も多く、エンジニアとしての視野が広がります。(就業者 60代)
経営層を説得して3Dプリンターの社内導入を実現させました。3Dプリンターは知識や技術だけでなくクリエイティブな発想が重要です。(就業者 50代)
よく使う道具、機材、情報技術等
パソコン、3Dプリンター用クライアントソフト、データ修正ソフト(3DCAD)