結論: 会社都合退職(特定受給資格者)と自己都合退職では、失業保険の給付日数が最大2倍以上・受給開始が約1.5ヶ月早い・加入条件も6ヶ月 vs 12ヶ月と大きく異なります。「自己都合で辞めた」と思っていても、ハラスメント・賃金未払いなどは会社都合として認定される場合があります。詳細は厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」をご確認ください。

退職を考えているとき、「会社都合」か「自己都合」かによって、失業保険のもらいやすさがかなり違います。同じ「退職」でも、受給開始日・給付日数・必要な加入期間のすべてに差が出るため、自分がどちらに該当するのかを確認しておくことは非常に重要です。

この記事では、会社都合と自己都合の違いをわかりやすく整理し、実際に「自己都合だと思っていたけれど会社都合として扱われるケース」も含めて解説します。離職票を受け取る前にぜひ読んでおいてください。


会社都合と自己都合、一番大きな違いは何か?

会社都合退職(正式には「特定受給資格者」や「特定理由離職者」)と自己都合退職を比べたとき、失業保険において特に重要な違いは以下の3点です。

項目 会社都合退職 自己都合退職
① 受給開始日 待期7日後すぐに支給開始 待期7日+給付制限期間30日(※)後
② 給付日数 年齢・加入期間により最大330日 最大150日
③ 必要な加入期間 離職前1年間に6か月以上 離職前2年間に12か月以上

(※)2025年の法改正により、自己都合退職の給付制限期間は従来の2か月から1か月に短縮されましたが、さらにその後に30日の待機が加算される運用が続いています。詳細はハローワークで確認してください。

この3つの違いは、受け取れる総額に大きく影響します。たとえば、加入期間10年・45歳で退職した場合、会社都合であれば給付日数は最大270日になる一方、自己都合では最大120日にとどまります。2倍以上の差が生じるケースもあります。


会社都合退職になるのはどんなケース?判定基準を一覧で確認

「自分は自己都合で辞めた」と思っていても、実態によっては「会社都合(特定受給資格者・特定理由離職者)」として認定される場合があります。主なケースを以下に整理します。

明らかに会社都合になるケース

  • 会社の倒産・廃業による離職
  • リストラ・人員削減による解雇
  • 雇い止め(契約社員・派遣社員の契約更新拒否)
  • 事業所の移転・閉鎖による退職

自己都合でも会社都合扱いになる可能性があるケース

  • 長時間の残業・休日出勤が続き、健康を害して退職した場合
  • パワハラ・セクハラなどハラスメントを受けて退職した場合
  • 賃金が大幅に引き下げられた、または支払いが遅延・未払いとなった場合
  • 労働条件が採用時の提示内容と著しく異なっていた場合
  • 通勤が不可能・困難になるほど遠方への転勤を命じられた場合

これらは「正当な理由のある自己都合退職」として、特定理由離職者に該当する場合があります。判断に迷う場合は、ハローワークに相談することをおすすめします。


会社都合と自己都合で給付日数はどれだけ違う?

失業保険の給付日数は、離職理由と雇用保険の加入期間・年齢によって決まります。

自己都合退職の場合

加入期間 給付日数
1年以上5年未満 90日
5年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日

会社都合退職(特定受給資格者)の場合

加入期間 30歳未満 30〜35歳未満 35〜45歳未満 45〜60歳未満 60〜65歳未満
1年未満 90日 90日 90日 90日 90日
1〜5年未満 90日 120日 150日 180日 150日
5〜10年未満 120日 180日 180日 240日 180日
10〜20年未満 180日 210日 240日 270日 210日
20年以上 240日 270日 330日 240日

自己都合の最大が150日であるのに対し、会社都合では最大330日まで給付を受けられる可能性があります。退職理由の分類が、受け取れる総額に直結することがわかります。


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受給開始まで何日かかる?会社都合 vs 自己都合で比較

失業保険は、ハローワークに求職申込みをしてから7日間の「待期期間」を経て支給が始まります。この7日間はどちらの退職理由でも共通です。

ただし、自己都合退職の場合は待期期間終了後にさらに「給付制限期間」が設けられており、その間は失業給付を受け取れません。

会社都合退職 自己都合退職
待期期間 7日間 7日間
給付制限期間 なし 約30日(2025年改正後)
最初の給付が出るまでの目安 約3〜4週間 約1.5〜2か月

会社都合であれば、退職後の早期から給付を受け取れるため、生活費の確保という点でも大きな差があります。退職後すぐに収入が途絶えることへの備えとして、自分がどちらに分類されるかを早めに把握しておくことが重要です。


「特定受給資格者」「特定理由離職者」とは何か?該当するとどう変わる?

失業保険の給付条件を有利に受けるためのキーワードが、この2つです。

特定受給資格者とは、倒産・解雇など「会社の都合による離職」をした人を指します。給付日数が多く、加入期間の要件も「1年間に6か月以上」と短めです。

特定理由離職者とは、期間満了による雇い止めや、正当な理由のある自己都合退職(ハラスメント・賃金未払いなど)に該当する人です。特定受給資格者と同等の給付日数が適用される場合があります。

どちらに該当するかは、ハローワークが離職票の記載内容や申告内容をもとに判断します。自分から「これは会社都合に当たりませんか」と申告することも可能です。遠慮せずに状況を伝えることが大切です。


離職票の退職理由コードをどう確認すればいい?

退職後に会社から送られてくる「離職票」には、退職理由を示すコードが記載されています。このコードによって、ハローワークでの認定内容が決まります。

確認のポイント

  • 離職票の「離職理由」欄に記載されているコードを確認する
  • コード「11(解雇)」「12(天災等)」「21(雇い止め)」などは会社都合
  • コード「40(一般の離職)」などは自己都合扱いになることが多い

記載内容に納得できない場合は異議申し立てができます

離職票に記載された退職理由が実態と異なる場合、ハローワークの窓口で「異議あり」として申告することができます。実際の経緯を説明し、関連する証拠(メール・給与明細・録音など)があれば持参すると、判断の参考にしてもらえます。

「会社に言われるままに自己都合で退職届を書いてしまった」という場合でも、実態が会社都合に当たるケースであれば、ハローワークでの申告によって認定が変わる可能性があります。



よくある質問

Q. 会社から「自己都合にしてほしい」と言われた場合は?

会社の要望に応じて自己都合で退職届を書いても、実態が解雇やリストラであれば、ハローワークでの申告によって会社都合として認定される場合があります。退職届の文言と実態が異なることは珍しくないため、離職票が届いたらコードを必ず確認してください。不明な点はハローワークの窓口に直接相談することをおすすめします。

Q. 離職票の記載が実態と違う場合どうする?

ハローワークで求職申込みをする際に、離職理由について「異議あり」として申告できます。実際の退職経緯を詳しく説明し、賃金明細・メール・労働条件通知書などの書類を持参すると話がスムーズです。最終的な判定はハローワークが行うため、まずは窓口に相談してみてください。

Q. 派遣社員の場合は?

派遣社員の場合、契約期間が満了した際に派遣元(派遣会社)から次の仕事の紹介がなかったケースは、「特定理由離職者」に該当する場合があります。一方、自ら契約更新を断った場合は自己都合となることが一般的です。状況によって判断が異なるため、離職後はまずハローワークで詳細を確認してください。


本記事の内容は2025年時点の情報をもとにしていますが、法令・制度は変更される場合があります。給付額や受給資格の詳細については、必ずハローワークにてご確認ください。